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2013年09月03日

戦艦ってナニ?2

太平洋の脅威になった日本の海軍力をワシントン軍縮条約でフルぼっこされて
「戦わずして連合艦隊は撃滅された」という声を浴びせられた海軍。ホント気の毒。

主砲数だと米国のたった半分、巨砲に限定して前向きに比べても65%という
砲戦力の絶対的劣勢の中、唯一、米国より優位だったのは全主力艦の速力。

そこで日本海軍は巨砲と優速を最大限に活かして
米国と同等か、それ以上にするための対米決戦方針を考える。最大限イカセイカセー。
これが「洋上の漸減作戦」で「主力艦の劣勢を補助艦の活躍で補う」というもの。

潜水艦、航空機でかく乱して駆逐艦、巡洋艦が砲雷撃。
神出鬼没で執拗な攻撃を反復し、敵味方の勢力が釣り合ったところで
戦艦が決戦を挑み、その巨砲で止めを刺す。
40センチ砲でも届かないもっと遠くから砲撃できれば、味方は絶対に有利。

この幻想が日本海軍の胸の奥深くにたたみこまれつつ軍縮条約が失効。
射程距離四万二千メートルの四六センチ砲九門搭載の超巨艦「大和」「武蔵」実現へGO。

ただこの作戦構想は航空機が発達してなくて「海戦は艦隊同士で戦うもの」が大前提の時代。

・・・「戦」じゃなくなっていくのかな。

「史上空前の『大和』型戦艦は、一般には未曾有の巨大戦艦というイメージが濃いが、じつは設計が極限まで整理されたので、世界最大の装備と防御力をもつわりには小さくつくられた艦である。」合理的でコンパクト化に成功した「大和」型の設計はズバ抜けたものだったらしい。

ところがどっこい戦いの主力が空母間の航空戦へと時代の流れが変わっていき
巨大戦艦なのに特攻させられ集中攻撃をうけ「大和」は撃沈する。
無念の終焉。なんてこった、まるごと全部が勿体ない。

「『大和』型の建艦技術は、その後、平和産業に偉大な貢献をおよぼしたのである。数多くの技術のうちでも、特筆できるのは巨大タンカーの造船技術であり、バルバス・バウ(球状艦首)である。現代の大型船は、軍艦、商艦を問わず『大和』型が開発したバルバス・バウの恩恵に浴しているといっても過言ではあるまい。」

「万里の長城とピラミッドと戦艦大和は世界の三大バカ」という陰口に対しての氏の文言。

・・・にしてもどこからきた陰口だろう?
私が子どもの頃、先生が授業中「大和」の話をしてこの陰口も言っていたのを覚えている。
「世界で一番」に喜んでたから、なんで「バカ」なんだと憤慨しとったなー。

万里の長城は「宇宙から肉眼で見える唯一の建造物」と言われた過去まである、
新・世界七不思議の世界遺産で観光名所。

ピラミッドは約4500年前の古代エジプトのフォラオの墓で世界遺産で観光名所。

・・・やっぱすごいじゃん「大和」。

佐藤和正氏の「戦艦入門」のあとがき。このくだりがとても好きで何度も読んだ。

「日本の戦艦こそ、人間が作り得た武器の中で最高の芸術作品であると私は考えている。戦艦の魅力は、強大な攻撃力と緻密な防御力にある。そして無駄のない戦闘にたいする徹底した機構と、どうしても人間を必要とする機能にある。どんな細部にも人間が参加しており、人間の目と耳と手と判断が、戦艦という無機物のかたまりを生き生きと躍動させるところに、無限の魅力が存在するのだと思う。これこそ壮大な芸術作品といえるのではないだろうか。」

理屈じゃなくてカッコ良い「なにか」を感じる自分にホッとした。

※「戦艦入門/著:佐藤和正」より

投稿者 jam : 2013年09月03日 23:01