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2011年01月18日

たばこであそぶ_そこが知りたい。

キセルの漢字は煙管。たばこは煙草。羅宇って書いてあるからそこは羅宇。
・・・ふ〜ん、そうなんだ。と、なんの不満も疑問もないのだけど
ただなんとなく「きせる」がなぜ「パイプ」と違って
イメージがとても日本的なんだけど、でも本当に日本的なのかが知りたくなって
なんとなく「タバコの歴史」という本を購入してなんとなく読んでみることにした。

・同じ葉タバコで巻かれている場合を「シガー」
・葉タバコ以外の別のもので巻かれていて一緒に燃やして喫煙するタバコを「シガレット」
・別の物質で巻かれていて外側の物質は燃やさない場合を「パイプタバコ」

複雑なスモーキングの区別を外側の材料でスッキリ大別。
これなら学習オンチな私でもイメージしやすく読みやすくなる。

この本に「きせる」という名前が登場する文献「坂日記」が1609年頃と書いてあった。

日本で「パイプ」が「きせる」になって葉巻や嗅ぎタバコより先に馴染んだのは
日本人の性分に見合った改良や嗜み方が「茶」と「香」に見立てやすかったんだなぁと。
この本を読んで思ったし、いろいろ腑に落ちた。

1600年前後、というと室町末期から
安土・桃山時代、江戸初期にかけて南蛮文化が生まれた時代。
南蛮胴具足(西洋甲冑)や和製南蛮胴具足。そして陣羽織。
武具甲冑の材料として水牛の角、ビロード、鹿革(フィリピン、ベトナム、台湾)
ヤクの毛(チベット)、孔雀の羽根など、様々な国から輸入されていた時代。

南蛮屏風をはじめ、憧れの南蛮(西洋)文化を文様に描いた日本人と
黄金に輝く美しい蒔絵に魅了された南蛮人。
彼らの国の調度品や道具に日本的な意匠を蒔絵して手みやげにして持ち帰る。
その中にパイプがあっても不思議じゃない。

脳みそがショートしてきた自分のために南蛮年表的に書き出してみた。

1543年 ポルトガル船が種子島に到来。
1549年 フランシスコ・ザビエル鹿児島に上陸。
1584年 スペイン船が平戸来航。
1590年 少年使節団がイエズス会宣教師たちと都を練り歩き、都は南蛮カラーピーク。
1600年 南蛮胴具足を関ヶ原の合戦で家康が着用(兜、マンチラ、胴はオランダ製)。
1609年 「坂日記」という文献に「きせる」という名前が登場。
1624年 スペインとの国交を断絶して、スペイン人の来航が禁じられる。
1635年 すべての日本船の海外渡航を禁じる第3次鎖国令。
1639年 ポルトガル人の来航を禁じる第5次鎖国令。
1641年 オランダ人を長崎の出島に移し、鎖国体制完成。

P1310665.jpg

「南蛮人密陀絵(みつだえ)盆」に唐人とキセルを銜える南蛮人が描かれていた。

タバコの歴史はとても長いし奥も深いし面白い。
知りたいところはそうカンタンに知れるわけなし。

日本的だったのかどうかといえばとても日本的。
今の日本の文化を構成する主成分がすべて揃っている。

参考にした本の名前。
   ↓
「タバコの歴史」上野 堅実(大修館書店)
「名古屋開府四〇〇年記念特別展 変革の時 桃山」図録(名古屋市博物館)
「日本の甲冑・武具」笹間良彦・棟方武城(東京美術)

投稿者 jam : 2011年01月18日 19:46